後藤研究室

授業方針

学部授業方針

学部授業の方針は,各授業の冒頭に詳しく説明しますが,基本方針は下記の通りです。

  1. 授業の到達目標を明示する。
  2. 復習の重要性を強調する。
  3. 試験は1回だけ。追試を行う。

私の授業では,あまり多くの前提を仮定せず,基礎的な部分から積み上げるように,努力しています。分らせる努力をしますが,毎回キチンと復習をし,できれば予習をすることを薦めます。大学で学ぶ数学は,復習をしないで十分な理解が得られたり,理解が定着することはありません。分かり始めて劇的に面白くなる日のために,今日の努力が求められるのです。そういう意味では,「辛抱が肝要」ですし,日常的な努力が大切です。

私がつける成績には,上げ底がしてありません。成績評価の基準は受講学生の理解が「(1)の目標に到達したかどうか。」にあります。試験は確認のために行われます。実は何回か,あまりの成績の悪さに,自分の授業内容と成績評価基準に深い疑問を持ったことがありました。満点をとった学生が数名いる試験なのに,50点以上をとった合格者は全受講学生の20%しかいないのです。これは困ります。調査の結果明らかになったことは,学生達の勉強の仕方に大きな欠点があるということです。受講学生達の多くが,試験の1週間位前から,過去問解答の丸暗記を始めるらしいのです。理解を伴った記憶ではなく,過去問の解答を丸暗記するというのは,数学を身につける方法ではありませんね。不合格者が80%に達したことも,少しも不思議ではありません。今では一切妥協せず,1回だけ試験をして1回だけ追試をし,そのあとは何人落第しようと,ありのままに不可を付けることにしています。そういう覚悟(方針)を決めた途端に,実際の落第者は全受講者の30%以下に収まるようになりました。不思議ですね。

授業用教科書

大学院:掲示してあるように,後藤の大学院講義にはすべて講義録があります。原井川聡先輩が記録をとって,tex化してくれたものです。(大変な苦労です。心よりお礼申し上げます。)内容的には,少し手を入れた方が良いかという感が無きにしもあらずですが,この講義録の通りに話をするわけではありませんし,聴講上は非常に助けになると思います。どうか利用して下さい。

学部:「代数学I・代数学演習I」の教科書は,後藤が書いたものに対馬竜司助教授が手を入れ,tex化してくれました。「基礎数学I・II (線型代数)」の後藤が書いたテキストも,まもなく掲示できると思います。利用して下さい。

自習用テキスト

推薦する代数学関係自習用テキストは,下記の通りです。少しずつ追加し,リストの内容を豊かにする予定です。なお,市販されているものはすべて,資料室で手にとって見ることができます。

  1. M. Artin:Algebra (Prentice Hall),学部用の最も標準的教科書,大部。
  2. V. Snaith:Groups, rings and Galois Theory (World Scientific社), 易しいGalois理論 。
  3. M. F. Atiyah-I. G. Macdonald:Introduction to Commutative Algebra (Addison-Wesley Publishing Company) ,homology代数を含まない可換環論の標準的教科書。
  4. S. Lang:Algebra (Addison-Wesley Publishing Company),抽象代数学全般, かなり高級な部分を含む。学部からM1レベル。
  5. O. Zariski-P. Samuel:Commutative Algebra I, II, (Addison-Wesley Publishing Company) ,可換環論の古典。大部。
  6. 後藤が書いたテキスト,可換環論にhomology代数を追加することが主目的。
  7. J. P. Serre:Local Algebra (Springer),局所環論の古典。
  8. W. Bruns-J. Herzogl:Cohen-Macaulay Rings, Cambridge Studies in Advanced Mathematics 39, (Cambridge University Press),現代可換環論を集大成した標準的な教科書。