後藤研究室

学生達への手紙(勉学への助言)

2008年10月8日

○○○○様
前略

今日セミナーで貴方が紹介したような内容は,自分の中で澄み切ってくるまで,試行錯誤を繰り返すことが大切です。分らないことに出会ったらまず,自分が今までに獲得した知識と技術を総動員してみる必要があります。実は,分らない部分にこそ,自分にとって新しい知識と発見が含まれているのであり,跳躍の手掛かりが隠されているのです。だから,本や論文を読んでいて,知らないことや分らないことが出てきたら,学問的には成長のチャンスが訪れたと思って下さい。

そして,そろそろ,読んで見て分らないということは,自分の知識が足らないからではなく,これまでに作り上げた理論と知的体系を使い切っていないからではないか,意味を理解しきっていないからではないかと考える必要があります。知らないからではなく,使い切っていないのではないかと。だから上に述べたように,自分が今までに獲得した知識と技術を,まずは総動員してみる必要があるのです。それでもどうしても分らない時は,やはり知識が足らない可能性がありますので,先人の仕事に学ぶのです。

焦ることはありません。今のようにしっかりと読み進む限り,着実に力が付いて来ます。これからも,腰を据えて,必ずわかると信じて,考え,読み進むことを薦めます。

ではまた。

草々

後藤四郎